前回のエントリーでエンジニアもマーケティングを学ぶべきだと書いたところ(「技術だけじゃないエンジニア」を目指す人はゼッタイ読むべき『マーケティング戦争』)、
という意見をいただきました。
また僕の大好きなロケスタ社長けんすうさんも
"ネットサービスで起業するならディレクション能力は社内に - ロケスタ社長日記 @kensuu
全部を1人が持っている必要はない
と書いています(けんすうさんはマーケティングではなく「ディレクション能力」と表現していますが、指している内容は共通するところがあります)。
ふむ。良い機会なので少し補足してみます。
実は「技術だけじゃないエンジニア」VS「エンジニア + マーケター」ではない
実を言うと「技術だけじゃないエンジニア」と「エンジニア + マーケター」どっちが強いの?というハナシではありません。誰かひとりがコードも書いてマーケティングもやって、というのはあまり現実的でないような気がします。
エンジニアがちょこっとマーケティングの本を読んだくらいでは、とてもじゃないけど本物のマーケターにはかなわないし、その逆もまた真。やはりどちらも専門に担当する人が必要なんじゃないかなと。
エンジニアがマーケティングを学ぶべき 4つの理由
ただ、それでも、マーケティングを担当する人が別にいるとしても、エンジニアがマーケティングを学ぶと良いことがたくさんあると考えています。主には次の 4つです。
* マーケターと共通言語がもてる * マーケターと基本方針を共有できる * 良いサービスを思いつける * 時間対効果が高い
以下、順に説明していきます。
1. マーケターと共通言語がもてる
まずひとつめ。エンジニアの人が当たり前のように使っている Perl とか Ruby とかいう言葉は、エンジニアでない人からしたら
という感覚だということはだいたい察しがつくかと思います。だから、何かの技術の仕様を決める打合せに、あまり技術的に詳しくない人が参加していて、ちょっと気を遣うのがめんどくさいなー、という経験をしたエンジニアは多数おられるはず。
そこは ハッシュ(関数) にしておけばよくない?
という一言で済むハナシを、場合によっては資料が必要になったりもします。
しかし、一方で、マーケターの人は逆のことを思っています。
そこは (メディア)レップ に任せた方がよくない?
と言ってもエンジニアの人はピンと来ないでしょう。
ところが、エンジニアがマーケティングを勉強することでマーケターと共通の言語をもつことができ、コミュニケーションがスムーズにいきます。(だったら逆に、マーケターも技術を学ぶべきなんじゃないか、という点については後述します。)
2. マーケターと基本方針を共有できる
ふたつめ。マーケターが使う言葉はエンジニア用語ほど変態ではありませんので、だいたいの意味はわかると思います。最近はウェブの世界から CGM などの(ちょっとわかりづらい)略語がやってきたりもしましたが、それは「消費者が発信する情報」などに置き換えて話せば通じる話で、それほど問題ではありません。
しかし、意味は通じても、マーケターとそうでない人とでは、同じ言葉について感じる重みが全く違うということはしばしばあります。
マーケティングには、歴史的に積み重ねられたいくつかの「セオリー」なるものがあって、それが売上や利益にとてつもなく大きな影響を及ぼしたりしています。例えば「ある分野で一番になれそうになかったら、一番になれる分野をつくれ」とか「ニッチ」とかいう言葉は、マーケターでない人からしたら「まあ、そうだろうな」くらいかもしれませんが、マーケターからしたら、それこそ生命線です。
エンジニアの人がマーケティングをある程度勉強したら、一緒に打合せやって、あれやろう、これやろう、こういうふうにやろうとなったときに、言葉の表面上の意味だけではなくて、もっと深く基本方針を共有することができます。
この「基本方針を共有する」というのが非常に重要で、各メンバーある程度の裁量が任されているときなどに
というとんでもない脱線を未然に防ぐことができます。(大半のエンジニアの人は、そういった周囲から白い目で見られた黒歴史があるでしょう?)例えば、あるウェブサービスを新規に立ち上げるときにも、新たに機能を追加するときにも大変活きてきます。
3. 良いアイディアを思いつける
そして、みっつめ。いま、これだけ速いスピードでどんどん新しい技術が生まれているなかでは、新しいアイディアを生み出すという点において、マーケターよりもエンジニアの方が有利なんじゃないかと思います。
既存の A というアイディアがあって、新しい B に刺激を受けて、それだったら C でもいけるんじゃない?
というような発想は、新しい B の情報がいち早く入ってきて、すぐにその仕組みを理解できるエンジニアが有利です。C を実装できるか否か、どうやったら実装できるかも、エンジニアならばすぐに頭のなかで組み立てられます。
ただそのとき、思いついた C のアイディアを、より流行るように、よりお金が儲かるようにブラッシュアップして D に昇華させることができたらもっと強い。
C を D に昇華させるのはマーケターの役割なのでは?ともいえますが、エンジニアがマーケターと一緒に打合せやっている時間なんて、ほんの一部です。大半の時間はひとりで、あーだこーだ考えている。そのときエンジニアがある程度マーケティングのセオリーをおさえていれば、自分のアイディアを然るべき方向に育てていけます。
つまりは、通勤時間やお風呂に入っているときの「ひとりブレストタイム」がより実のあるものになるということです。
4. 時間対効果が高い
さて、ここまで読んでくださったエンジニアの人、
と思われるのが自然だと思います。
しかし、僕はマーケティングをやっている後輩に対して「技術(例えばプログラミング)も少しは勉強したほうがいいよ」とは言っていません。僕はマーケティング半分、エンジニア半分やってきた中途半端ヤローなのですが、その見地から言うと、エンジニア以外の人が技術の分野を勉強するのは時間効率が悪すぎるのです(梅田望夫さんが言うような「ウェブリテラシー」くらいは身につけた方がよいとは思いますが)。
それに対して、マーケティングについては、セオリーとか専門用語とか、知識として頭に入れなきゃいけないことはそれほどなくて実践がほとんどです。その実践が大変で、相手はコンピュータではなく人間なのでトライ&エラーの連続なのですが、ともあれ、知識として必要なことは技術の分野に較べたら全然少ない。
何冊か本を読むだけでなんとなく分かった気になれる、つまり、
時間対効果が高い
分野なのです。
定番書『マーケティング 22 の法則』でセオリーをおさえてみよう
というわけで、マーケティングをちょっとかじってみませんか?
マーケターの間で「定番書」と言われている本を 1冊紹介しておきます。マーケティングのセオリーを鳥瞰できる本です。オススメ。

- 作者: アルライズ,ジャックトラウト,Al Ries,Jack Trout,新井喜美夫
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ではでは。