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『Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方』第13章 製品理念

ペパボ プロダクトオーナーシップ 勉強会 では下記の本が課題図書に選ばれて、皆で読んだりしていた。

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

最近、仕事において、この本に書かれている中の一節が非常に関係する場面に何度か(何度も)出くわしたため、頭の整理を兼ねてメモしておく。

引用

関係するのは「第13章 製品理念」という話。ちょっと長めに引用。

第13章 製品理念

何が大切かを決める

製品理念とは、製品開発のための一連の原則を定めたもので、両立させるのが難しいものがうまく折り合うところを見極めて何を優先させるかを決めるときに、大きな拠り所となる。製品理念は、信念や目的を社内の人たちに宣言するものでもある。私が製品開発をやるときは、製品理念を決めて公表することにしている。というのは、きちんとした製品理念をみんなに知ってもらえれば、それは、製品戦略を効果的に補ってくれるし、製品を見つけ出すプロセスがグンとはかどるからである。

(中略)

製品理念を考えて作るというのは、何が主で何が従かを決めることであり、また、戦略であるものや基本となるものは何か、単なる手段であるものや一時的なものは何かを決めることを意味する。

製品理念が満たしておくべき条件

製品理念を定める理由や、製品理念を定めて共有するメリットは何かについては、上記引用のとおりだが、逆に言うと、製品理念は次のことを満たしていなければならない。

  • 何を優先させるかを決めるときに、大きな拠り所となること
  • 共有すれば、プロダクトマネージャー自身でなくても、何を優先させるべきかを判断できること

これを満たす製品理念は、プロダクトオーナー自身が下す決定をスムーズにし、またチームのメンバーが行う様々な判断をスムーズにする。

現実は厳しい

がしかし、現実はそう簡単ではなくて、大抵の場合、重要なことは複数あって、その中での優先順位を決めることが非常に難しかったりする。

冒頭で書いた、僕が仕事で出くわした場面というのも、まさにそういう場面だった。

とはいえ、そこを何とか考え抜いて、優先順位を決めるところまで辿り着かなければ、前述したような製品理念を決めることのメリットは享受できないことになる。

最近見つけた良い(製品)理念の例

製品理念を定めること、特に複数の重要なことの優先順位を付けることについては、とにかく考え抜いて、そしてその経験を積むことしか道は無いのかもしれないが、最近、偶然、良い理念を見つけたので一例として挙げておく(製品ではないが)

前の記事 の中に書いた ファザーリング・ジャパン の理念がそれで、

「よい父親」ではなく「笑っている父親」を増やす

というもの。「よい父親」ということも「笑っている父親」ということもどちらも重要であることには変わりないが、明確な優先順位づけができている。個々の構成員が様々な判断をする上での大きな拠り所になっていると想像できる。

我が家の子育ての理念を考えてみた

話は少し脱線するが、上記のファザーリング・ジャパンの理念に触発されて、我が家で、子育ての理念を決めようということになった。

それより以前にも何度か夫婦で「子どもをどう育てたいか。どういうふうに育ってもらいたいか。何を一番優先するのか」について何度か話す機会があって、考えを擦り合わせてきたのだけれど、もっと短いことばで表現できたほうが何かとはかどるだろうと。

話し合った結果、

「よい子ども」ではなく「笑っている子ども」に育てよう

ということになった(ファザーリング・ジャパンの影響を受けすぎだろうか)

ここで「よい子ども」というのは、能力が高いというのと大体同じで、身の回りのことを一人でできるとか、人前に出しても恥ずかしくないほどお行儀が良いとか、読み書きを覚えるのが早いとか、そういうことを指す。

それも重要であることは勿論なのだけれど、もしも「笑っている子ども」に育つことに相反するようなことがあれば、「笑っている子ども」に育つことのほうを優先するよ、ということの宣言である。

情緒の安定した子どもに育てることが、我が家の子育ての究極の目的である、ということを確認した、ということである。

理念を決めることで、例えば、ごはんの食べ方とか箸の使い方とか、上手にできるに越したことはないけれど、今日、いま、嫌がっているのを、無理矢理教え込んだりしないよ、まあ明日になれば、やる気になるかもね、というか、やる気になるまで待つよ、など、そういう判断が捗るようになった。

まとめ

  • 重要なことが複数あるとき、その中での優先順位を決めて、製品理念を定めるのは非常に難しい
  • しかし、製品理念を定めると、プロダクトマネージャー自身だけではなく、チームのメンバーによる各々の判断もとても捗るという大きなメリットがある

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方